接触角計とはどういうもの?
接触角を測定して何でも解決と、意気込んでいたはじめてさん。
自信満々に指示書を作成したところが現場からはクレームの嵐。
上司に呼び出されてまた小言の数々。そのうるささに閉口して、仕入れたばかりのとっておき接触角ネタでレクチャーを始めたのです。
ところが上司は苦い顔。
「本当に接触角計を知っているのか」という人格否定の失礼な言葉にムッとして「完璧に知ってます」と答えてしまいました。
すると、現場に行ってレクしてこいと命じられたのです。
でも、本当は接触角計なんて触ったことがありません。AIに聞いても何が何やら良く分かりません。でもいまさらそうは言えないので、困ってしまいました。5月病を理由に会社をサボろうかと思うほどでしたが、ボーナス査定に響いたら一大事と奮起したはじめてさん。
教えて、ニッ君。困ったときのニッ君頼みです。
はじめてさんは、さっそくSNSで聞いてみました。 接触角計って、そもそもどういうものなのか?
こうしてはじめてさんは、接触角が、カメラで撮影して自動で解析してくれる便利な装置だと知るのでした。
- 接触角計が「液滴を真横からシルエットとして捉える」という基本的な仕組み
- 全自動による全面測定には、液滴の配置順序など条件が必要な理由
- 光軸方向に液滴が重なっていると正しく測定できない理由
- 超撥水試料などで液が付着しない(着液しない)場合に改善するための3つのテクニック
- 測定で得られる情報には、1次データ(画像)から3次データ(グラフ)まであること
ところで接触角計とは?
はじめてさん
ねえニッ君、接触角”計”ってなに?
ニッ君
いきなりいまさら、という感じがしますが、こういう物です。たとえば、LSE-ME51というのがあります。小型なので机の脇に置いて気楽に測定できます。
はじめてさん
いや、そうじゃなくて、どうなってるの?
ニッ君
測定の仕組み(原理)のことですか?
はじめてさん
そう、それ!
ニッ君
液滴を真横から見るので、単純化するとこういう図になります。
はじめてさん
さっそく見てみたけど、なんか違うよ。この前はこんな画像だったよね。
ニッ君
それは、影絵のように投影した影を見ているからです。
はじめてさん
影絵??
投影された液滴を測る
ニッ君
液滴を光で照らして、輪郭をはっきりと際立たせて、スクリーンに投影するイメージです。現在の装置では、スクリーンの代わりにカメラの画像素子があると思ってください。
はじめてさん
じゃあ、懐中電灯で照らして見れば・・・・・・
ニッ君
まぶしいので、止めましょう。目を痛めますよ。
はじめてさん
おっと危ない。でもでも、それで、画像がモノクロなのかな?
ニッ君
そうです。背面の光で照らされるので、液滴が影になって見えるのでモノクロ画像が適しています。
はじめてさん
カラーだとダメなの? よく葉っぱに付いた水滴の写真とかあるよね。
ニッ君
画像から形状を測定するにはモノクロカメラの方が適しているからです。
はじめてさん
どうして?
ニッ君
具体的な話は、少し専門的になるのでまた別の機会にして、今回の一番の目的を優先してはどうでしょう。
はじめてさん
あ、忘れてた。接触角計がどういうものか知りたかったんだ!
接触角計を構成する機能のイメージ
ニッ君
接触角計は、こうなっています。
ニッ君
カメラと光源(照明)の間に測定対象となる試料を載せるステージがあります。ステージの上側には、液体を吐出させるディスペンサーが取り付けられているのが一般的な構成です。
はじめてさん
雨粒みたいに、液を落とすんじゃなんだね?
ニッ君
方法については一長一短がありますが、たとえばJISR 3257 : 1999には「試料台上の試験片上に水滴として静置する。」という記述があります。このJISには「静置」とありますので、液滴を飛ばすことは想定していないことになります。
はじめてさん
やっぱりそうだよね。それで、液を置いたらどうなるの?
ニッ君
ソフトウェアが自動で測定して結果を表示します。操作はとても簡単です。
接触角を測定する主な作業
1)ディスペンサの針先に、液滴を作る。
2)ステージを操作して、液滴を試料面に着液させる。
*複数箇所を測定する場合は、これを繰り返します。
*測定モードでは、ソフトウェアが自動で着液検出して測定画像を記録します。
はじめてさん
確かに、簡単そうだね。
まずは接触角を測ってみる
ニッ君
固体試料面上の液を置いて横から撮影するという、シンプルな方法ですから、単純作業と言えます。
ニッ君
それでいて、固体試料表面の状態が少し変わっても接触角が変化すします。
ミクロン以下の違いが簡単に調べられるのが最大の利点です。
ニッ君
突き詰めれば奥が深い面もあるのですが入口としての敷居は低いので、まずは測定して現象を記録することをお勧めします。
はじめてさん
現象を記録?
ニッ君
接触角計は測定器ですが、重さを測る電子天秤や長さを測るノギスなどのように数値を出すだけではなく、画像を記録するからです。
接触角計から得られるデータについて
1次データ:画像
取得される生データとなる、画像が記録されます。
このため、元画像を利用した再解析が可能となります。
2次データ:画像を解析して得られる数値データ
接触角や液滴の幅や高さなどが、画像解析によって求められます。
3次データ:上記に含まれない情報を用いたデータ
経時変化のグラフや、動画。
(経時変化測定により、時間という情報を取得していれば、時間経過による変化をグラフで見られます。また画像を元に、動画にして一連の変化の様子を確認することもできます)
はじめてさん
画像に始まり動画に終わるということだね。
ニッ君
扱いやすいのは、接触角などの数値化されたデータです。一方で分かりやすいのは画像や動画になりますので、用途に応じて使い分けます。
はじめてさん
つまり、測定は簡単で、1次データの画像も残るので、測定すればどこに問題があるか分かるってことだよね。
ニッ君
その通りです。ですから測定位置は、決めておく必要があります。
全面で接触角を測りたい
はじめてさん
全面測るのが普通だよね。
ニッ君
試料に施したコーティングの性能が全体で均一かどうかを知るには、厳密には全面を測らないと確からしいとは言えません。
はじめてさん
だよね。でも現場はクレーマーだらけで、困るんだ。せっかく万全を期して全面測るように指示書を書いたのに、なんで?
ニッ君
全面測るのは、手間がかかるからだと思います。
はじめてさん
なんだ。みんな楽したいのか。だったら全自動で測ってくれる装置ならいいんだね。何かある?
ニッ君
全自動全面測定ができる、LSE-A220というのがあります。
はじめてさん
よし、買ってもらおう!
ニッ君
ありがとうございます。ですが待ってください。全自動測定でも、全面を測るには条件が必要になります。
はじめてさん
どういうこと?
ニッ君
先ほど見ていただいたように、液滴を横からカメラで見るため、見ている方向と同同一線上に、前に測定した液滴があると、液滴が重なって見えるので正しく測定できないのです。
はじめてさん
これで全自動全面測定なんて、嘘つきだ。
ニッ君
いえ、嘘ではなく測れます。影になる位置の液滴が測定前に揮発していれば、測れます。
はじめてさん
なんかだまされた感が・・・・・・
ニッ君
物理現象なので、理想と現実の違いには悩まされます。このため、実際の測定条件は、理想的な条件から実現可能は条件に落とし込む作業を経て、決める必要があります。たとえば、こんなふうに。
測定の工夫
・測定済の液を拭き取る
・乾燥が早い場合は、次の測定位置を遠くにして測定し、乾燥する時間を稼ぐ。
・前に測定した液が邪魔にならない位置を工夫して測る。
*どの位置を測定するかを事前に決めるための、実験が必要になります。全品全面測定して検査すると、検査工数が膨大になるため、品質を担保するために重要な箇所を決めて、測定する工夫をします。
はじめてさん
なんだ知ってるよ。ニッ君を試しただけだから。
(検査工数やばい。まったく気にしてなかった)
ニッ君
ではもう、大丈夫ですね。
はじめてさん
じゃ、さっそく言ってくる。
ニッ君
これで解決することを願っています。
撥水が良すぎて着液しない?
はじめてさん
現場に言ったら、全面測定以前の問題だって。
ニッ君
どういうことでしょう?
はじめてさん
測れないって言われた。
ニッ君
前に測定した液の影にならないようにしても、測れないとはどういう状況か、もう少し詳しく教えてください。
はじめてさん
液が試料に付かないんだ。
ニッ君
針先に作成した液滴に、試料面を付けても液が針先に残った状態と言うことですか?
たとえばこんな状態です。
はじめてさん
そうそれ(だと思う)
ニッ君
着液しないとは、撥水性がかなり高い試料ですね。このような場合には、いくつかテクニックがあります。
はじめてさん
それ、教えて! 早く!
ニッ君
こんな感じです。
着液とは?
ディスペンサの針先に作成した液を試料側に移すことを着液と言います。この現象は、液滴が、針側と試料側のどちらにぬれやすいかによって変わります。ガラス面のように親水性が高い場合は、液はガラス面に自ずとぬれ移ります。
逆に、撥水コーティングされた面を持つ試料の場合は、液は試料面にはぬれ広がりたくないので、針先に留まろうとします。針の中には同じ液があるのですかる、撥水表面よりは針の内部の同類と共にいようとします。この力は、針の断面積に比例します。
撥水性の高い試料への着液方法
1)針を細くする。
2)フッ素コーティング針を使う。
針の断面の外周は、針自体の厚みが存在しています。
この厚み部分の撥水性を上げることで、液離れを促進します。
3)液量を増やす。
針の断面積で保持できる液の重さは限られていますので、保持しにくくなる液量にすることで、試料に移しやすくなります。
はじめてさん
分かった。ありがとう。
ニッ君
どういたしまして。
はじめてさん
これでもう、クレーマー撃退だね。
ニッ君
クレーマーではないと思いますよ。
まとめ
1. 接触角計の仕組みと構成
接触角計は、固体表面に置いた液滴を真横から撮影し、その形状から「濡れやすさ(接触角)」を数値化する装置です。
構成:光源(照明)、試料を載せるステージ、液体を出すディスペンサー、カメラで構成されます。
画像の特徴: 輪郭をはっきりと際立たせるため、背面から光を当ててモノクロの影絵(投影図)として撮影します。
2. 得られる3つのデータ
測定によって、以下の3段階のデータを取得・活用できます。
1次データ(画像)
生データ。後から再解析が可能。
2次データ(数値)
画像解析で算出された接触角、液滴の幅・高さなど。
3次データ(変化): 時間経過による変化を記録したグラフや動画。
3次データ(変化)
時間経過による変化を記録したグラフや動画。
3. 実用上の課題と工夫
全自動で全面測定を行う際には、物理的な制約を考慮する必要があります。
液滴の重なり
真横から見る性質上、手前の液滴が奥の液滴を隠してしまうため、測定順序や乾燥時間を考慮した配置(サンプリング箇所の選定)が重要です。
着液の難しさ
超撥水材料などは、液が試料に付着せず針先に残ることがあります。
対策
針を細くする、針自体に撥水コーティングを施す、液量を増やして自重で落とすなどのテクニックが有効です。
つまり接触角計とは
接触角計は操作自体はシンプルですが、表面のわずかな違いを画像と数値で可視化できる強力なツールです。正確な評価のためには、「液を置く位置」と「着液のさせ方」という現場に即した工夫が鍵となります。
はじめてさん
それはそうとして、フッ素コーティング針、あるの?
ニッ君
ありますよ。
はじめてさん
じゃあ、購入手続きして届くまで、会社を休みながら考えよっと。
ニッ君
それは、まずいと思いますよ。
取得される生データとなる、画像が記録されます。
このため、元画像を利用した再解析が可能となります。
接触角や液滴の幅や高さなどが、画像解析によって求められます。
3次データ:上記に含まれない情報を用いたデータ
経時変化のグラフや、動画。
(経時変化測定により、時間という情報を取得していれば、時間経過による変化をグラフで見られます。また画像を元に、動画にして一連の変化の様子を確認することもできます)
はじめてさん
画像に始まり動画に終わるということだね。
ニッ君
扱いやすいのは、接触角などの数値化されたデータです。一方で分かりやすいのは画像や動画になりますので、用途に応じて使い分けます。
はじめてさん
つまり、測定は簡単で、1次データの画像も残るので、測定すればどこに問題があるか分かるってことだよね。
ニッ君
その通りです。ですから測定位置は、決めておく必要があります。
全面で接触角を測りたい
はじめてさん
全面測るのが普通だよね。
ニッ君
試料に施したコーティングの性能が全体で均一かどうかを知るには、厳密には全面を測らないと確からしいとは言えません。
はじめてさん
だよね。でも現場はクレーマーだらけで、困るんだ。せっかく万全を期して全面測るように指示書を書いたのに、なんで?
ニッ君
全面測るのは、手間がかかるからだと思います。
はじめてさん
なんだ。みんな楽したいのか。だったら全自動で測ってくれる装置ならいいんだね。何かある?
ニッ君
全自動全面測定ができる、LSE-A220というのがあります。
はじめてさん
よし、買ってもらおう!
ニッ君
ありがとうございます。ですが待ってください。全自動測定でも、全面を測るには条件が必要になります。
はじめてさん
どういうこと?
ニッ君
先ほど見ていただいたように、液滴を横からカメラで見るため、見ている方向と同同一線上に、前に測定した液滴があると、液滴が重なって見えるので正しく測定できないのです。
はじめてさん
これで全自動全面測定なんて、嘘つきだ。
ニッ君
いえ、嘘ではなく測れます。影になる位置の液滴が測定前に揮発していれば、測れます。
はじめてさん
なんかだまされた感が・・・・・・
ニッ君
物理現象なので、理想と現実の違いには悩まされます。このため、実際の測定条件は、理想的な条件から実現可能は条件に落とし込む作業を経て、決める必要があります。たとえば、こんなふうに。
測定の工夫
・測定済の液を拭き取る
・乾燥が早い場合は、次の測定位置を遠くにして測定し、乾燥する時間を稼ぐ。
・前に測定した液が邪魔にならない位置を工夫して測る。
*どの位置を測定するかを事前に決めるための、実験が必要になります。全品全面測定して検査すると、検査工数が膨大になるため、品質を担保するために重要な箇所を決めて、測定する工夫をします。
はじめてさん
なんだ知ってるよ。ニッ君を試しただけだから。
(検査工数やばい。まったく気にしてなかった)
ニッ君
ではもう、大丈夫ですね。
はじめてさん
じゃ、さっそく言ってくる。
ニッ君
これで解決することを願っています。
撥水が良すぎて着液しない?
はじめてさん
現場に言ったら、全面測定以前の問題だって。
ニッ君
どういうことでしょう?
はじめてさん
測れないって言われた。
ニッ君
前に測定した液の影にならないようにしても、測れないとはどういう状況か、もう少し詳しく教えてください。
はじめてさん
液が試料に付かないんだ。
ニッ君
針先に作成した液滴に、試料面を付けても液が針先に残った状態と言うことですか?
たとえばこんな状態です。
はじめてさん
そうそれ(だと思う)
ニッ君
着液しないとは、撥水性がかなり高い試料ですね。このような場合には、いくつかテクニックがあります。
はじめてさん
それ、教えて! 早く!
ニッ君
こんな感じです。
着液とは?
ディスペンサの針先に作成した液を試料側に移すことを着液と言います。この現象は、液滴が、針側と試料側のどちらにぬれやすいかによって変わります。ガラス面のように親水性が高い場合は、液はガラス面に自ずとぬれ移ります。
逆に、撥水コーティングされた面を持つ試料の場合は、液は試料面にはぬれ広がりたくないので、針先に留まろうとします。針の中には同じ液があるのですかる、撥水表面よりは針の内部の同類と共にいようとします。この力は、針の断面積に比例します。
撥水性の高い試料への着液方法
1)針を細くする。
2)フッ素コーティング針を使う。
針の断面の外周は、針自体の厚みが存在しています。
この厚み部分の撥水性を上げることで、液離れを促進します。
3)液量を増やす。
針の断面積で保持できる液の重さは限られていますので、保持しにくくなる液量にすることで、試料に移しやすくなります。
はじめてさん
分かった。ありがとう。
ニッ君
どういたしまして。
はじめてさん
これでもう、クレーマー撃退だね。
ニッ君
クレーマーではないと思いますよ。
まとめ
1. 接触角計の仕組みと構成
接触角計は、固体表面に置いた液滴を真横から撮影し、その形状から「濡れやすさ(接触角)」を数値化する装置です。
構成:光源(照明)、試料を載せるステージ、液体を出すディスペンサー、カメラで構成されます。
画像の特徴: 輪郭をはっきりと際立たせるため、背面から光を当ててモノクロの影絵(投影図)として撮影します。
2. 得られる3つのデータ
測定によって、以下の3段階のデータを取得・活用できます。
1次データ(画像)
生データ。後から再解析が可能。
2次データ(数値)
画像解析で算出された接触角、液滴の幅・高さなど。
3次データ(変化): 時間経過による変化を記録したグラフや動画。
3次データ(変化)
時間経過による変化を記録したグラフや動画。
3. 実用上の課題と工夫
全自動で全面測定を行う際には、物理的な制約を考慮する必要があります。
液滴の重なり
真横から見る性質上、手前の液滴が奥の液滴を隠してしまうため、測定順序や乾燥時間を考慮した配置(サンプリング箇所の選定)が重要です。
着液の難しさ
超撥水材料などは、液が試料に付着せず針先に残ることがあります。
対策
針を細くする、針自体に撥水コーティングを施す、液量を増やして自重で落とすなどのテクニックが有効です。
つまり接触角計とは
接触角計は操作自体はシンプルですが、表面のわずかな違いを画像と数値で可視化できる強力なツールです。正確な評価のためには、「液を置く位置」と「着液のさせ方」という現場に即した工夫が鍵となります。
はじめてさん
それはそうとして、フッ素コーティング針、あるの?
ニッ君
ありますよ。
はじめてさん
じゃあ、購入手続きして届くまで、会社を休みながら考えよっと。
ニッ君
それは、まずいと思いますよ。
経時変化のグラフや、動画。
(経時変化測定により、時間という情報を取得していれば、時間経過による変化をグラフで見られます。また画像を元に、動画にして一連の変化の様子を確認することもできます)
はじめてさん
画像に始まり動画に終わるということだね。
ニッ君
扱いやすいのは、接触角などの数値化されたデータです。一方で分かりやすいのは画像や動画になりますので、用途に応じて使い分けます。
はじめてさん
つまり、測定は簡単で、1次データの画像も残るので、測定すればどこに問題があるか分かるってことだよね。
ニッ君
その通りです。ですから測定位置は、決めておく必要があります。
はじめてさん
全面測るのが普通だよね。
ニッ君
試料に施したコーティングの性能が全体で均一かどうかを知るには、厳密には全面を測らないと確からしいとは言えません。
はじめてさん
だよね。でも現場はクレーマーだらけで、困るんだ。せっかく万全を期して全面測るように指示書を書いたのに、なんで?
ニッ君
全面測るのは、手間がかかるからだと思います。
はじめてさん
なんだ。みんな楽したいのか。だったら全自動で測ってくれる装置ならいいんだね。何かある?
ニッ君
全自動全面測定ができる、LSE-A220というのがあります。
はじめてさん
よし、買ってもらおう!
ニッ君
ありがとうございます。ですが待ってください。全自動測定でも、全面を測るには条件が必要になります。
はじめてさん
どういうこと?
ニッ君
先ほど見ていただいたように、液滴を横からカメラで見るため、見ている方向と同同一線上に、前に測定した液滴があると、液滴が重なって見えるので正しく測定できないのです。
はじめてさん
これで全自動全面測定なんて、嘘つきだ。
ニッ君
いえ、嘘ではなく測れます。影になる位置の液滴が測定前に揮発していれば、測れます。
はじめてさん
なんかだまされた感が・・・・・・
ニッ君
物理現象なので、理想と現実の違いには悩まされます。このため、実際の測定条件は、理想的な条件から実現可能は条件に落とし込む作業を経て、決める必要があります。たとえば、こんなふうに。
・測定済の液を拭き取る
・乾燥が早い場合は、次の測定位置を遠くにして測定し、乾燥する時間を稼ぐ。
・前に測定した液が邪魔にならない位置を工夫して測る。
*どの位置を測定するかを事前に決めるための、実験が必要になります。全品全面測定して検査すると、検査工数が膨大になるため、品質を担保するために重要な箇所を決めて、測定する工夫をします。
はじめてさん
なんだ知ってるよ。ニッ君を試しただけだから。
(検査工数やばい。まったく気にしてなかった)
ニッ君
ではもう、大丈夫ですね。
はじめてさん
じゃ、さっそく言ってくる。
ニッ君
これで解決することを願っています。
はじめてさん
現場に言ったら、全面測定以前の問題だって。
ニッ君
どういうことでしょう?
はじめてさん
測れないって言われた。
ニッ君
前に測定した液の影にならないようにしても、測れないとはどういう状況か、もう少し詳しく教えてください。
はじめてさん
液が試料に付かないんだ。
ニッ君
針先に作成した液滴に、試料面を付けても液が針先に残った状態と言うことですか?
たとえばこんな状態です。
はじめてさん
そうそれ(だと思う)
ニッ君
着液しないとは、撥水性がかなり高い試料ですね。このような場合には、いくつかテクニックがあります。
はじめてさん
それ、教えて! 早く!
ニッ君
こんな感じです。
ディスペンサの針先に作成した液を試料側に移すことを着液と言います。この現象は、液滴が、針側と試料側のどちらにぬれやすいかによって変わります。ガラス面のように親水性が高い場合は、液はガラス面に自ずとぬれ移ります。
逆に、撥水コーティングされた面を持つ試料の場合は、液は試料面にはぬれ広がりたくないので、針先に留まろうとします。針の中には同じ液があるのですかる、撥水表面よりは針の内部の同類と共にいようとします。この力は、針の断面積に比例します。
1)針を細くする。
2)フッ素コーティング針を使う。
針の断面の外周は、針自体の厚みが存在しています。
この厚み部分の撥水性を上げることで、液離れを促進します。
3)液量を増やす。
針の断面積で保持できる液の重さは限られていますので、保持しにくくなる液量にすることで、試料に移しやすくなります。
はじめてさん
分かった。ありがとう。
ニッ君
どういたしまして。
はじめてさん
これでもう、クレーマー撃退だね。
ニッ君
クレーマーではないと思いますよ。
接触角計は、固体表面に置いた液滴を真横から撮影し、その形状から「濡れやすさ(接触角)」を数値化する装置です。
構成:光源(照明)、試料を載せるステージ、液体を出すディスペンサー、カメラで構成されます。
画像の特徴: 輪郭をはっきりと際立たせるため、背面から光を当ててモノクロの影絵(投影図)として撮影します。
測定によって、以下の3段階のデータを取得・活用できます。
生データ。後から再解析が可能。
画像解析で算出された接触角、液滴の幅・高さなど。
3次データ(変化): 時間経過による変化を記録したグラフや動画。
時間経過による変化を記録したグラフや動画。
全自動で全面測定を行う際には、物理的な制約を考慮する必要があります。
真横から見る性質上、手前の液滴が奥の液滴を隠してしまうため、測定順序や乾燥時間を考慮した配置(サンプリング箇所の選定)が重要です。
超撥水材料などは、液が試料に付着せず針先に残ることがあります。
針を細くする、針自体に撥水コーティングを施す、液量を増やして自重で落とすなどのテクニックが有効です。
接触角計は操作自体はシンプルですが、表面のわずかな違いを画像と数値で可視化できる強力なツールです。正確な評価のためには、「液を置く位置」と「着液のさせ方」という現場に即した工夫が鍵となります。
はじめてさん
それはそうとして、フッ素コーティング針、あるの?
ニッ君
ありますよ。
はじめてさん
じゃあ、購入手続きして届くまで、会社を休みながら考えよっと。
ニッ君
それは、まずいと思いますよ。