接触角:実際の画像

反射像
多くの場合、実際の映像では反射像が見えます。
これは、液滴が固体試料面に反射とレンズの画角によるものです。
実際の測定画像(反射像あり)
このため画像処理においては、
  • 反射像がある場合
  • 反射像がない場合
  • 端点付近だけ反射像がある場合
  • 歪んだ反射像がある場合
などの異なる条件に対応する必要があります。
接触角のばらつき
実際に測定を行うと、同一試料の組合せでも接触角がばらつくことがあります。
一般的には、現実問題として均一な表面が作れないために、数値がばらつくのだと解釈されています。

クリーンルームできれいに洗浄された試料を測定すると、ばらつきが少ないきれいなデータが得られるからです。

そのため、最大最小値をカットした平均値をその場合の接触角として利用することが推奨されています。


またばらつきには、画像処理上の誤差が含まれます。
rの値が1画素ずれるだけで、接触角は変わります。 例えばθ/2法で単純に試算すれば分かることですが、h=50,r=100 の場合と h=50,r=101 の場合を比較すると求められる接触角が異なることが分かります。

この誤差を軽減する方法が、カーブフィッティングとなります。
しかし液滴の輪郭を左端点から右端点までの円弧上のすべての点を用いると、きれいにフィットしないことがあります。

可能性としてまず考えられるのは、
  • 液がつぶれて楕円になっている。
  • 左右の接触角が異なっている。
という場合です。


真円でフィットしない場合は、楕円フィッティングを使用します。
楕円フィットの画像

左右のぬれ方が異なる場合(楕円フィットでも輪郭にフィットしない場合)は、左右の接触角を別個に測定する必要があります。
*表記上の注意:
接触角測定=θ/2法 という従来の認識がまだ多いため、弊社では現時点において以下のような区分けとなっています。

  • θ/2法 :
    左右差を考慮しない接触角。
    (左端点から右端点までの範囲における接触角)
  • 接線法(Tangent) :
    左右別個の接触角
    (左端点近傍および右端点近傍の輪郭点を用いた左右それぞれの接触角)。

それぞれにおいて、真円フィッティングと楕円フィッティングが選択可能ですので、合計6通りの解析方法があることになります。

フィッティングしない場合は範囲内を三等分した3点を用い、フィッティングする場合は範囲内の輪郭点をすべて用います。

どの接触角を採用すべきか
一般論として、着液からの経過時間が同等の複数回測定した接触角の平均値を用いますが、数値のばらつきが大きい場合には、

最大最小値を除外した平均値

を用いるべきだと言えます。


ただし、以下の点についても留意してください。


接触角というのは、ある固体に液体がぬれる実際の現象を撮影し、その映像を元に数値化するものです。

ある固体と液体のぬれる状態の相関を数値化しているため、絶対値ではなく、相対値 となります。

相対値による相対評価ですから単なる接触角という数値を比較するだけでは、本質を見誤ることになります。

測定条件をそろえること、解析条件をそろえること。
実験をする上では当たり前のことですが、条件をそろえて初めて、比較ができる意味のある数値となります。
あらゆる条件を一致させれば、その固体と液体の接触角としての絶対値となるでしょうが、現実的に条件をそろえるためのコストを多くの場合はかけられないのではないかと思います。

そのため、測定条件が分からない他者が取得したデータは、慎重に扱う必要があります。
元データ(画像など)があれば解析条件は合わせることができますが、測定条件(環境条件や前処理など)が不明の場合は、単なる接触角という数値に過度に依存すべきではないといえます。


逆に言えば、測定する際の条件を規定しておくと、品質管理や製品開発において異常値(異変)が発生したとき、要因を分析する上で役に立ちます。

細かい話をすれば、液を吐出するディスペンサで使用するシリンジを再利用する場合には、どのように洗浄するかも決めなければなりません。
当然ながら、異なる性質の液体を同じシリンジを使って測定する場合には、洗浄不足による液汚染のリスクも生じることになります。
こうした条件出しは、測定者のノウハウに大きく依存する要素です。


結論としては、
条件をそろえて測定した接触角を採用すべき
となります。

こう書くと接触角があまりに面倒な測定方法だと思われるかも知れませんが、それは逆です。

単純で簡易に測定できます。

しかも、実際の現象を撮影するわけですから、紛うことなき事実がそこに記録されています。
ただ、現象を解釈(数値化)するには、見えていなかった条件が必要になるかも知れないということです。
簡単に測定できるからこそ、他の要因が入り込む余地があるといえます。

まずは、測定してみることが重要です。測定して疑問が生じれば、そこで初めて条件の見直しをすればいいのです。
そうして積み重ねた知見こそが、かけがえのない財産となることでしょう。

対象商品
表面自由エネルギーで有名な北崎所長からの寄稿文