接触角:上面からの様子

接触角測定例(いびつなぬれ)
実際の現象を見ると、側面からではきれいにぬれているように見えても、上面から見ればいびつにぬれている様子が分かります。

このようないびつなぬれが、接触角のばらつきの原因のひとつとなります。

下の画像をみると、単なる接触角だけを評価するだけでは問題があることに気付きます。

一般的な接触角計の限界だといえます。
gifアニメーション(実際の接触角測定画像(側面+上面)いびつな場合)
(着液してぬれ拡がり、さらに蒸発するまでの画像)
接触角測定例(きれいなぬれ)
きれいにぬれる場合は、上面から見てもきれいな円状にぬれているのが分かります。
こうした場合は、側面からの接触角測定だけでいいように思われます。
実際の接触角測定画像(側面+上面)きれいな場合
接触角(側面)測定の限界
しかしながら、きれいにぬれる場合は、側面から観察できる液滴の端点と、上面から観察できる液の輪郭点に差があることが分かります。
側面からの観測では、測定分解能の限界を超えているからといえます。
実際の接触角測定画像(側面+上面)きれいな場合の端点を比較した図


i2winではこのような映像も側面と上面で接触角を求めることができます。
実際のi2winでの測定画像(側面+上面)きれいな場合の場合
上面の接触角は液の直径と着液量を元に求めます。その結果を下表にまとめます。
測定値の相違
項目
側面
上面
接触角
3.79°
4.40°
直径
2880μm
3266μm
液高
48μm
63μm

このように測定方法(解析方法)によって接触角には違いが生じます。
明らかに側面による接触角(従来手法)では内側の点を取っていることが分かりますが、接触角の数値としてみれば低くなっているので、ぬれやすさを評価したい場合には、こちらを採用したくなるのではないでしょうか。

一方でより確からしい上面からの測定においては、逆算した液高が高くなっています。これは、側面から観測した液滴の幅だけでなく、高さも見えなくなっている可能性を示唆しています。

ただ、初期の着液量を元に計算するため、ぬれ拡がった段階では蒸発によって液量が少しばかり減っている可能性があることは念頭に置かなければなりません。
蒸発に関しては、揮発性のある液体かどうかによって影響の度合いは変わりますので、着液後の時間に基準を設ける必要があります。

ですので、上面からの観測においては、着液量から演算で求めた接触角だけでなく、上面からの情報だけで得られるぬれ面積も測定しています。
ぬれ性の評価ですから、同じ液量でどれくらいぬれ拡がるか、という評価が有効になります。

ぬれの方向性とぬれ面積
また、固体試料によってはぬれに方向性があるものがあります。
ぬれ方向のある試料(横置き) ぬれ方向のある試料(縦置き)


こうした場合、上面からの映像があれば明らかに違いが分かるだけでなく、ぬれ面積*を比較すれば同等のぬれであることが分かります。
測定値の相違
項目
縦置き
横置き
着液量
0.95μL
0.99μL
接触角
145.36°
115.35°
ぬれ面積*
1.16mm2
1.15mm2

*厳密には90°以上なのでぬれ面積ではなく、見かけ上の投影面積となります。 原理上ぬれ面積は、90°以下でなければ計測できません。
接触角に上面観測を加える意義
従来の接触角(側面観測)しか行っていなかった場合、少なくとも目視で上面から観察してみる必要があります。

いつも真円状にぬれているように見えるのであれば、そのままでも問題は無いと思われます。

しかし、真円にぬれていない場合で、接触角の評価で何か問題や疑問が生じている場合、上面観測をしてみてはいかがでしょうか。
新たな視点で観察するだけでも、これまで得られなかった知見を獲得できるかもしれません。

表面自由エネルギーで有名な北崎所長からの寄稿文